実家の近くの浜辺で拾った
アサリの貝殻を描いてみました。
まずはデッサンです。
アウトラインをとらえたら
貝殻の表面の模様や
隆起の加減をよく観察します。
じっくり観察しているうちに
樹木の年輪に成長過程の意味があるように
アサリの波々の隆起にも
法則があるのを感じます。
調べてみると
縦の放射状の波々の数は種の特徴を示し
根本から同心円状に貝の形で現れる横の隆起は
成長の年月を示しているらしいです。
このアサリのたどった日々が
刻まれているとしたら
この隆起をなるべく正確に
表現したい!と思い
実物大では表現に限界があるため
今回は、1.5倍くらいのサイズで描いてみました。
2020.3.12
デッサンが終了したら
トレースし、本番の紙に写します。
*最初のデッサンに不自然さを感じたので
再度、デッサンし直しています。
本番の紙の上では、
消しゴムを使って
表面が毛羽立ったり
描き直して
紙面に鉛筆の線の窪みができることを
なるべく避けたいので
トレーシングペーパーに写す時は
ゆるぎない実線でとらえることを
心がけます。
この段階でビシッと決めることが大切です。
トレース完了。
今回の貝は、
なが~らく海辺で
強い日差しをあび、波に洗われ
石灰化している
白い物体のため
トレースした線を悪目立ち
させたくありません。
このあと、練り消しでたたいて
見えるか見えないかくらいまで
さらに色を落とします。
2020.3.18
春にトレースまですませていたアサリ。
ずいぶん、時間が空いてしまいましたが
水彩で仕上げていきます。
*貝殻は、経年変化しないので
ずるずると先延ばしにしていました。
まずは、ごくごく淡いイエローを
全体にのせた後
貝殻にほのかに感じる色を
のせていきます。
次に、部分的に表れる
貝の模様を描いていきます。
あとは、ひたすら縦の波々の影を
つけていきます。
放射線状に伸びる波々は
幅も均一ではないし
隆起の感じも場所によって異なります。
デッサンの実線がここで活きてきます。
また、先に描いておいた貝の模様も、
目印としてとても役立ちます。
模様のある部分を
一つのブロックとしてとらえて
どこで堀が深くなって
どこで幅が狭くなるか・・・。
観察しながら陰影をつけていきます。
機械的につけていると
整い過ぎた均一な感じになってしまうので
地道な作業ですが
1ブロックごと淡々と繰り返していきます。
最後に、貝全体のフォルムの陰影や
横の隆起をつけていきます。
海辺に打ち寄せる波のリズムを
思い出しながら描いてみました。
2020.8.18