ワークショップで行った“葉っぱの水彩画”を
私自身も描いてみました。
少しづつ経過をご紹介します。
選んだのは、欅(けやき)の葉っぱです。
さらりと美しい
真っ赤な紅葉です。
公園にはたくさんの欅の落ち葉がありましたが
その中でも私の目を引いた
こちらの美しい紅葉を描くことにしました。
ダイナミックな色の変化が無いだけに
微妙な色合いを表現しないと
この子らしさは表せないので
じっくりとりくみます。
■写真撮影
まずは、写真撮影。
この赤さは、2~3時間後には失うものですから
のちのちのため、きちんと写真を撮影しておきます。
この日は、曇りの日だったため
部屋の中の自然光ではあまりいい感じではなかったので
斜め左上からライトをあてて
真上から撮影しています。
今回は、この環境で描きます。
撮影した写真そのままだと
実際の雰囲気と色合いなど異なることが多いので
画像調整してできるだけ本物との誤差を少なくしておきます。
■スケッチ
撮影が終わったら、スケッチです。
一枚の葉っぱのみで作品にするので
葉脈と鋸歯の関係までいつも以上に注意して観察し
描いていきます。
*写真はスケッチの途中段階です
2017.12.3
スケッチが完了したら
トレースし、
本番の水彩用紙に写します。
ベースの黄色をフラットに
ウェット オン ウェットで塗っていきます。
次にオレンジっぽい色を作り
ウェットオンウェットで全体に塗ります。
主脈を挟んで左右比較すると
左の方が濃いので(ライトが左斜め上にあるため)
ベースの色も心なしか
左側濃いめにしておきます。
この紅葉は葉脈が淡い色なので
今後は葉脈を残して色付けしていきます。
ベースとして全体にフラットに塗ってよいのは
葉脈部分の淡い色、
つまりこのオレンジっぽい色までです。
2017.12.6
葉脈を塗り残すようにして
主脈や側脈で仕切られた枠内を
もう一段濃い色で
一つ一つ色付けます。
光のあたり方、
紅葉の進捗状況によって
葉脈が強調される部分と
目立たない部分があるので
よく観察して描きます。
さらに濃い色で
同じ作業を繰り返していきます。
陰影が大げさになったら
フラットに塗ったりもします。
さらに濃い色を加えていきます。
一日目終了(6時間くらい)。
2017.12.9
1日目よりさらに濃い色を加えていきます。
塗るエリアが小さくなるのに比例して
筆のサイズも小さく変えていきます。
筆の面でのグラデーションに
表現の限界がきたら
筆先での線描に変更していきます。
線描でも限界があるところは
点描も加えます。
細かいところをつめていくと
面としての弱さを感じてきます。
そんな時はあらためてフラットに塗ったりもしながら
存在感や質感を出していきます。
二日目終了(8時間くらい)。
2017.12.12
最終調整で
紅葉がまだらに進んでいる様子
小さな表情を
全体のバランスとともに
さらに整えていきます。
自分がこの葉っぱを選んだ時の気持ちを思い出しながら
観察して初めて発見したことなどを振り返りながら
丁寧に表現していきます。
葉っぱの中にまだ水分が残っている
沈む直前の夕日のような紅葉
伝わったでしょうか・・・。
最終段階でまで
トータルで20時間を越えました。
2017.12.17
制作過程を時系列に並べてみると
初日の5~6時間が、もっとも変化が大きいです。
さらっとした水彩画が好みなら
1日目の最終形でも葉っぱの形をなしています。
ただ、描き手の個性やこだわりは
2日目以降に現れるような気がします。
20時間を超えてからは
実際どれくらいの時間をかけているのかわかりません。
毎度のことですが・・・
ほぼ完成の状態になって
いったん筆を置くのですが
毎日毎日、朝に夕に、何かが気になって
しまってある絵をチラッ、チラッと覗きに行くのです。
筆を入れることもあれば、覗くだけのこともあります。
我ながら、それはちょっと奇妙な行動です。
何かが気になる時は、やっぱり完成ではないのでしょう。
そんなこんなを何日か続けていると
ある日、“ハイッ、完成!”と思う日がやってきます。
その翌日からは、覗きに行くことはなくなります。
こうして、20時間以上もかけて葉っぱを描く作業ですが
もっと速く描ければいいのに・・・とはあまり思っておらず
ゆっくりとした時間の流れの中で
微妙な変化に遭遇することを
楽しみにしているところがあるのです。
2017.12.20