ミディカトレアの水彩画制作工程を
ご紹介します。
実際の植物の成長の様子は、以下の頁をご覧ください。
まずはデッサンです。
花が咲いているうちに
花の色付けまでは進みたいので
急げ!急げ!です。
基本的にはそのままを描きますが
葉っぱの広がり方が必ずしも
絵としてバランスのよいわけでは無いので
空白エリアには葉っぱを加えて
間延びしないようにします。
ただし、バランスを整えたいからと言って
“そんなところから葉っぱは伸びないよ”
という場所には加えることはできないので
やはり、『どのようにバルブが伸びて葉っぱがつくのか』、
構造的なことを理解しておかないといけません。
花については、昨年シンビジュームを描いた際に
花の構造を調べて理解したので
今回はなんとなく懐かしい感じです。
デッサンが終わるとトレースして
水彩紙に写します。
引き続き、花の色付けです。
右半分にトレーシングペーパーをのせているのは
花の色付けをしている時に
右半分がこすれて汚れるのを防ぐためです。
ボタニカルアートでは背景に色を塗ることは
基本的にないので
白い紙に白い花を描くのは大変気を使います。
紙の色は白と言っても少し黄味を帯びています。
このカトレアの花は、実際には紙の白よりも白いのです。
普段は徹底的に実物に色を合わせにかかりますが
透明水彩では紙の色よりも白くすることはできないので、
影を付けた後、一番明るい部分に
ごくごく淡いイエローをのせて紙の白色との
差異を出してみました。
何はともあれ、お花がきれいに咲いている間に
お花の目鼻がついて一安心です。
2019.2.6
次にグリーンの部分のベースに
イエローを塗っていきます。
引き続き、表葉・裏葉を意識して
グリーンのベースを塗っていきます。
この段階から、おおまかな陰影は
常に意識していきます。
2019.2.11
表葉に本格的にメリハリをつけていきます。
基本の色を作ったら、それをもとに陰影に合わせて色変化を加えていきます。
なので、基本の色はたっぷり準備しておきます。
2019.2.16
表葉に続き、裏葉にも表情を付けていきます。
花の背後に裏葉がくるように
配置したので
裏葉の色が増してくると
花の強弱も更に付けていくことができます。
白い花は、存在は示したいけれど
けっして鼠色の花にならないよう
全体のバランスを見ながら
色を付けていくことにしました。
2019.2.20
表葉、裏葉の2巡目が終わったら
そろそろ、バルブに手を付けていきます。
1年前に花芽が出てきて以来
春夏秋冬の中で
栄養分や水分を蓄え
蘭の成長を支えてきた器官です。
中身が肥大するにつれ
表面は繊維だけが薄く残り
見た目は驚異的に複雑です。
焦らず、1日1バルブ仕上げていこうと思います。
2019.3.1
バルブの詳細を描き終えたら
バルブ同士の前後感を出すために
ぼかしたり、陰影をつけたりします。
最初からぼんやり描くのと
細かく描いてからぼかすのは
やはり違う訳です。
グリーンの部分に
ずいぶん手を入れてきたので
花や蕾が弱く感じます。
花と葉っぱでは
色だけでなく、厚みや透け感も異なるので
質感を大切にいよいよ花も描き進めたいと思います。
2019.3.10
少し、日にちが経ってしまいましたが
いよいよ、お花です。
以前、書きましたが
本来は、この花は紙の色より白く
暖かみのある白というよりは、
クールな感じの白でした。
そのままの色を再現するのは無理なので
イメージを表現することにしました。
今はもう、お花は咲いていないので
PCでの画像を確認しながら描いていきます。
ただし、PCでの画像は
そもそも目視で見た時の色とは異なるので
陰影を確認するために参考にする感じです。
お花が咲いているうちに
基本的なベースの色は塗ってあるので
ここでの作業はその足掛かりを元に
よりメリハリをつけていく感じです。
そのため、ここに至るまでに色づくりや
色見本に試し描きした資料は
大切にとっておきます。
また、パレットは完成するまでは決して洗いません。
パレットには、絵が完成するまでの軌跡が
乗っているので
時間をおいて描く時にも、とても重宝します。
2019.4.2
描き始めてから早4か月
久しぶりにカトレアに筆を入れます。
最後は根です。
根は日にちが経過しても
あまり雰囲気が変わらないので
最後にしたというのもありますが
実はこの鉢を購入した際に
小さな小さな3つ葉の植物が寄生していました。
そのクローバーの超小型版のような植物が
とても可愛かったので
一緒に描きたかったのですが
カトレアの花を真冬の寒さから守るために
鉢を室内に置いていると
あまりの乾燥に耐えられず
あっという間に小型クローバーは枯れてしまいました。
という訳で
春になってまた生えてくるのを待っていたのでした。
まずは、スケッチです。
2019.5.17
根っこに色を付け、全体の色のバランスやメリハリを調整して、完成です。