ヒアシンスの水彩画

 

ヒアシンスの水彩画の制作工程をご紹介します。


ヒアシンスを描く 1

 

2月の中頃に購入したヒヤシンスが開花しました。

もともと、蕾がぷっくりした状態まで育っており

既に値下げされていたのですが

黄色にむしょうに春を感じ

購入しました。

 

当然、あっという間に開花し始めたので

水彩で描くことにしました。

 

ポットにさしてあった名札には

イエローストーンという名前の他に

『香りの楽園』と記載してあったのですが

デッサンをしていると

むせるほどの甘い香りが

部屋中に広がります。

 

あまり香りが強いものは苦手なので

夜は外に出して冷たい空気をあてて

花の広がりを抑えています。

 

水彩の様子はまたぼちぼち載せていきます。

 

 

2021.3.11

 


ヒアシンスを描く 2 デッサン

 

まずは、デッサンから始めます。

右の写真はデッサン完成の状態、

その前に下準備としてこんなことをしています。

 

 

■採寸

実物大で描くため、

全長

花の咲いている部分の長さ

そこから球根までの長さ

球根の高さ

など、計測していきます。

 

いきなり上から描き始めたりすると

バランスが狂ってしまうので

花、葉っぱ、球根の配分がわかるよう

目安の高さを横線で取り

その範囲内でまとめるようにしています。

 

次に花単体のサイズも採寸します。

 

咲いている向きによって

当然『お花の見た目の長さ』は変わるのですが

MAXの長さを自分で意識しておけば

極端にサイズがおかしくなることが

防げます。

 

■写真撮影 

実際に描く時の目線での全体写真。

全方向からの写真。

お花のアップの写真。

 

また、撮った写真の一部は

画像調整をして

目視での色にできるだけあわせたものも作っておきます。

 

今日のこの瞬間から、刻々と植物は変化していくので

描き始めの状態をできるだけ写真にとどめておくと

あとあと助かります。

 

こんなことをした上で、ようやく描き始めます。

 

 

2021.3.17

  


ヒアシンスを描く 3

 

花のエリア、葉っぱのエリア、球根のエリアなど、大体の割合をとったら、まずはお花エリアから描いていきます。

 

ここでも、最初から一つのお花の

1枚1枚の花びらまで描いていくと

大体どんどん大きくなっていきます。

多くの方が経験するデッサンあるあるだと思います。

 

そこで、お花の形を簡単な図形に置き換え(今回は円錐のようなラッパ状の形)で

おおまかな花の向きを意識しながら

個々の花を配置していきます。

いわゆるアタリをとる作業です。

 

上から何番目のお花が

ちょうど中間地点にくる・・・とか

目安になる花を配置して

『描いていくにつれて、長さが足りなくなった』ということがないようにします。

 

葉っぱや球根も、大体の形をとっておきます。

 

 

2021.3.21 

 

 


ヒアシンスを描く 4

 

全体のアタリがバランスよく取れたら

いよいよ、個々の花の特徴を

描きこんでいきます。

 

このあたりから、虫眼鏡や

PCでの拡大画像を活用していきます。

 

花の特徴や醸し出す雰囲気を

つかもうと思うと

普通に見るだけでは限界があるので

拡大して、理解するようにしています。

 

また、本番のデッサンの横にも

花の構造を描いたりしていますが

自分が理解するために

更に備忘録として

気づいた特徴や調べた内容などは

残すようにしています。

 

この作業をしている時に

大体、目から鱗のような経験があります。

 

大雑把に見ていたなぁ・・・とか

知っているようで知らなかった・・・とか

色々な発見があるのです。 

 

また、図や言葉で説明することによって

自分自身の理解度が深まり

この後のデッサンがうまくいくような

気がしています。

 

構造を理解すると

『なぜ、こんな風に見えるのか』という裏付けがとれて

始点や終点を間違わなくて済みます。

 

なんとなく描いて

肝心なところが曖昧になってしまったり

構造的に不自然になってしまうことは

よくあることです。

 

最初は『絵を描くこと』と

『そのものについて調べる』ということを

つなげて行うことがちょっと面倒だったりもしましたが

いい加減にしてしまったところは

完成間近に後悔することが多いです。

結局は、ちゃんと理解していた方が

近道だったりします。

 

図鑑のようなモノを描こうとは思っていないのですが

私の感じる美しさの大きな要素には

瑞々しさや、伸びやかさがあるような気がしており

美しさの根源を解明したいという気持ちが強いです。

 

何に美しさを感じるかは人それぞれですが

その部分を掘り下げると

その人らしい絵になるような気もします。 

 

 

2021.4.29 

 

 


ヒアシンスを描く 5 完成

 

2年前の2021年の春、ちょうどコロナの真っただ中で、気持ちも沈みがちだったので、元気をくれそうな黄色いヒヤシンスを育ててみました。

スケッチやベースの色をのせるまではしていたのだけど、花が枯れるのと同時に、絵の方もちょっと一休みしたまま、2年間眠らせていましたが、

このたび、あらためて最後まで仕上げてみました。

 

イエローストンという園芸種で、あたたかみのある黄色がかわいらしかったなぁ。

記憶の面影は、たいてい良い方に転がっていきます。

 

撮影していた画像と、自分の記憶や思い出をミックスして描いているので、リアルより少しだけ自分好みに寄せていくのが、私流です。

 

 

2023.6.9