この春、チューリップを育ててみて
一番驚いたのが
かなり背丈が低い段階から
チューリップの蕾が
形を成しているということ。
また、葉っぱにくるまれながら
育っていく様子が
とてもいとおしく感じました。
そんな思いを植物画として残そうと思い
描いてみました。
それでは、さっそく完成までの工程を解説します。
まずはデッサンしたものを
本番の紙にトレースします。
蕾以外は葉っぱと茎で
すべて緑色のため
蕾以外の部分には
ベースとして黄色を塗り広げます。
均一に、淡く広げたいので
水を塗ってから黄色を広げます。
*水を塗る工程は、蝶を描いた時の解説を
参考にしてください。
このチューリップの葉っぱは
縁が白い斑入りなので
白い部分を除いて
グリーンを広げます。
一番淡い所にあわせるように
水を広げてから
全体にグリーンを淡く広げます。
*少し水が多かったのでムラができてしまいましが、この後の工程で、挽回するので、気にしない、気にしない!
焦って乾ききる前にいじったりすると、余計に
汚くなっていくので、ここはじっと我慢の子なのです。
光のあたり方や
最初の葉っぱと新しい葉っぱでも
葉の色合いや明るさは変わるので
観察しながら
大まかに濃淡の違いを付けておきます。
このあたりから
本格的に色を合わせにかかります。
鉢を机の上に置いて
本物の葉っぱと照らし合わせながら
色を作っていきます。
また葉脈などの細かい部分は
写真を撮って
画像をPCで拡大して観察します。
拡大して見えたものを全て
絵の中に描きこむわけではありませんが
色んな情報を踏まえた上で描くと
矛盾が少なくなります。
自分が対象から感じた美しさが
損なわれないように
やりすぎにならないように
薄手のベールを何枚も羽織るように
色をのせていきます。
回りの葉っぱを
細かいところまで詰めていき
ほぼ完成に近い状態にしたら
いよいよ蕾を描きます。
この絵の場合は
蕾が一番明るいため
外堀を固めてから
主役の蕾に色を付けました。
細かい部分のメリハリをつけ
ほぼ完成まで近づいたところで
急に土を描きたくなりました。
4か月にわたって
チューリップを育ててみて
土の中で球根がどれだけのエネルギーを
蓄えていたのか
日々の成長を見るにつけ
とても感動しました。
芽を出し育っていった
植物の力強さを表現したいと思い
地面を加筆し、
完成です。
所用時間は1週間くらい。
電気の下だと色の見え方が変わってしまうので
昼間の時間、無理のない範囲でしか描きません。
これを長いと感じるか
短いと感じるかは人によって異なると思いますが
完成までのそれぞれの工程で楽しさがあります。
紙の上で、命が宿り始めると
ベランダのチューリップと同じくらい
いとおしくなります。
2020.4.11
その後、成長し開花したチューリップを
水彩画に残しました。
チューリップの成長と共に過ごした
今年の春のことは
きっと、一生忘れないと
思います。
2020.5.11