オオシマルリタマムシ 水彩画

 

玉虫。

今までの人生でかかわったことのない昆虫です。

 

名前に大島とあるように

日本の本州以南に生息する玉虫です。

体長3.3cm。

緑と赤の縦じまに

すばらしく光沢があります。

 

玉虫のことを調べる中で出てきたのが

国宝『玉虫厨子/たまむしのずし』。

 

法隆寺にある

飛鳥時代に作られた 

仏像を安置するための宮殿型の入れ物(厨子)です。

 

小中学校で習うらしいのですが

さっぱり記憶がありません。

 

玉虫細工といって

玉虫の羽そのものを使用して

厨子に装飾を施したそうです。

 

螺鈿(らでん)など、

貝殻の光沢を装飾に使用するのは知っていたけれど

昆虫の羽を、それも何千匹もの羽を美の追求のために用いるというのは

とてつもない発想です。

 

 

2018.10.19

 

オオシマルリタマムシ Atelier-Sachic
オオシマルリタマムシ Atelier-Sachic

 

まずは、デッサンしたものを

トレースします。

 

 

オオシマルリタマムシ Atelier-Sachic
オオシマルリタマムシ Atelier-Sachic

 

眼の部分をマスキングし

ベースを塗ります。

 

赤の部分も、緑の部分も

色自体に黄色が入っているので

水を塗ってから

黄色を全体に均等にのばします。

オオシマルリタマムシ Atelier-Sachic
オオシマルリタマムシ Atelier-Sachic

 

次に緑部分から始めたいので

赤の部分はとりあえずマスキングします。

 

赤と緑は、いわゆる反対色なため

混ざると黒っぽく濁ります。

 

私は実物大の3cm強のサイズで描いているので

不本意に色がはみ出ると

縦じまがきれいに表現できないですし

光沢感が鈍るので

安心して緑の部分に取り掛かれるよう

マスキングしました。

 

 

2018.10.23

 

 

玉虫は構造色と言って

金属的な輝きがあります。

 

緑自体も、植物の緑よりずっとあざやかです。

 

植物を描く時は

絵の具の緑色そのものを使用することはほとんどありません。

黄色系と青色系の色を混ぜたり

赤色系等混色して、色のトーンをくすませます。

絵の具そのものの色はとても美しいけれど

実際の植物にしては、あざやかすぎるからです。

 

逆に昆虫の場合は

作り物かと思うくらい

あざやかだったりするので

あえて絵の具の緑そのものを使用して

独特のあざやかさを出すようにしています。

 

 

2018.10.24

オオシマルリタマムシ Atelier-Sachic
オオシマルリタマムシ Atelier-Sachic

 

次に赤の部分のマスキングを取り

色をつけます。

 

 

 

オオシマルリタマムシ Atelier-Sachic
オオシマルリタマムシ Atelier-Sachic

 

眼の部分のマスキングも取り

色をつけていきます。

 

構造色ならではの色のゆらめきや

物体そのものが持つ陰影をつけ

全体のバランスを整えていきます。

 

 

2018.10.25

オオシマルリタマムシ Atelier-Sachic
オオシマルリタマムシ Atelier-Sachic

 

脚や触覚を描き

全体的な色のバランスを整え完成です。

 

実は脚の部分のみ一度消して

さらっとした感じに描き直しました。

 

クワガタの後で描いたので

脚のつき方を多少理解していた分

かえって構造を強調して描いてしまい

玉虫のサイズに対し、

少しデフォルメ感が出てしまったので

修正しました。 

 

なので、脚の部分は、紙の白地に

ぼやっとグレーの色が残っています。

 

今回、一度描いた色を落とすために使用したのが

メラニンスポンジです。

  

水筆とティッシュで

まずある程度色を落とした後

塗れたメラニンスポンジで軽くこすって

表面の色を取り除いてみました。

 

紙面に若干のざらつき感はありますが

色はずいぶん落ちてくれました。

 

不透明水彩の白で汚れを隠す方法もありますが

絵の具の白と紙の白は異なるため

隠すために白を塗った感じがでてしまうので

多少色が残ったとしてもメラニンスポンジの方が

自然な気がします。

 

もちろん、間違いが無いように

慎重に描くことが一番大切ですが・・・。

 

*メラニンスポンジで絵の具を落とす方法は、すべての水彩紙に対応するわけでは無いそうです。

私は、アルシュ紙(極細 300g)を使用しています。

 

 

2018.10.28