日々制作している作品や、生徒時代に制作した作品などを紹介します。
白磁に絵付けをする時、全体の雰囲気がぼんやり浮かぶことは多く、この作品も昆虫というモチーフより先に、ブルー系のレリーフのイメージがふくらんだので、まずはレリーフの色選びから具現化していきました。
レリーフに囲まれた4つのスペースには、甥っ子の好きなカブトムシをはじめ、カマキリ、アゲハ蝶、カタツムリを配置し、中央スペースにはミツバチ、テントウ虫、アリ、アメンボを描いています。フォルムや色の異なる昆虫を選び、にぎやかな感じにしました。昆虫は多様性があり、描いていて楽しいですし、出来上がったものを見てもなんだか愉快です。
また、こちらはお菓子をのせることを前提としているので、虫さん達はリアリティとメルヘンの中間くらいの雰囲気に描き、童話の世界にみたてています。
お菓子で隠して、昆虫当てっこをして遊ぶのもありですね。
2023.12.8
ニワウメの、春の花から夏の実の様子を描いてみました。
モチーフにした植物画は、『Flora Japonica(フローラヤポニカ)*』に収められている、ニワウメ(Prunus japonica)です。
植物画をそのまま模写するのではなく、縦に花の季節、実の季節は横断するようにデザイン、ブルーの縁取りで爽やかに仕上げてみました。
今年は桜をはじめ、春の花の開花時期が早く、描き始めた時には既に実際のお花は終わっていたので、実物の花は植物画像を参考に観察しました。
とはいえ、桃の花に近いくらいの桃色から、ソメイヨシノに少し色を足したくらいの淡いピンク色まで、細かい品種違いで色々あるようなので、その中間くらいの色合いにしてみました。
紅く実をつけるのは6〜7月らしく、こちらは是非植物園に見に行こうと思っています。
*フローラヤポニカ(Flora Japonica)について
シーボルト(Siebold, Philipp Franz Balthazar von, 1796-1866)が日本において収集した植物標本や、川原慶賀などの日本人絵師が描いた下絵をもとに作成され、1835年から1870年にかけて30分冊として刊行されました。(京都大学貴重資料デジタルアーカイブより転載)
Flora Japonica(京都大学附属図書館所蔵)
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00000001
2023.4.26
冬に飾れるプレートとして
クリスマスローズを描いてみました。
センターのクリスマスローズは、2005年に開催された『植物画世界の至宝展』の図録67頁にあるクリスマスローズ(デュルパン描画)を模写しています。
実際の植物画には、絵の下に植物の名前『HELLEBORUS niger.(ヘレボラス ニゲル)』と記されており、英名がクリスマスローズであり、クリスマスの頃に開花する品種です。
ただし、日本ではヘレボラス属全般をクリスマスローズと呼ぶ傾向があるようです。
桜の季節にクリスマスローズを見ることが多いので、いつも、なぜクリスマスという名がついているのか不思議に思っていましたが、合点がいきました。
また、『niger(ニゲル)』とは、『黒い』という意味で、根っこの色を表しています。
リムには、淡いピスタチオカラーを施し、クリスマスローズをレリーフ調にデザインしてみました。
アンティークっぽい暖かみのある仕上がりがお気に入りです。
*『植物画世界の至宝展』は英国王立園芸協会(RHS)創立200周年を記念し、2005年に開催された展覧会です。
2022.12.22
縁起物シリーズの一つ。
竹の豆皿に
雀を描きました。
有田焼の鳩の箸置きに
植物文様を描きました。
細かい文様がシャープに表現できるよう
線描きにて輪郭線をほどこしています。
縁起物シリーズの一つ。
松の豆皿に
鶴を描きました。
縁起物シリーズの一つ。
梅の花の豆皿に
鶯を描きました。
フローラダニカの復元原画をもとに描きました。
学名は『 Prunus Cerasus 』
和名で、『 スミミザクラ 』というらしいのです。
日本人が想像するいわゆる『 桜 』とは違うので、
描きながらも違和感を隠し切れなかったのですが
色使いの練習もかねての作品です。
縁起物シリーズの一つ。
一富士二鷹三茄子にかけて
富士山の豆皿に
鷹を描いてみました。
晩夏、初秋の湿原でよく見られるワレモコウ。
お花屋さんでも
アレンジメントの一つとして
よく使われます。
シンプルなデザインの中に
あたたかみと独特なドライな感じを
表現してみました。
ハスをこよなく愛する知人への
プレゼントとして描いてみました。
花の見た目の美しさだけでなく
ハスが生まれ
お花が散っていくまでの
美しさのストーリーを感じられる
器に仕上げてみました。
お世話になった大切な方に
さしあげたいという友人からのリクエストで
描いてみました。
オーソドックスに小花のブーケ。
ヨーグルトを入れたり
フルーツを入れたり
シリアルを入れたり
朝食が楽しみになる器です。
赤いチューリップにピンク系のバラを
合わせています
幼すぎないように
小花を少しシックな色合いで
ひきしめています
サクソンフラワーブーケをベースに、
バラの花びらにボリュームをもたせたり
小花の数を増やしたりして
自然光のもとで
ふわっと、お花を束ねましたというイメージで
描いてみました
フローラダニカの復元原画をもとにディナープレートにカバの樹を描きました。
絵付け教室をはじめ
小花を描く機会が増えました
そして
小花のことが
あらためて好きになりました
レッスンでは色の勉強もかねて
カラフルな小花を教えますが
パープルとグリーンの2色使いで描くのも
アンティークのような
大人っぽいカワイらしさがあります
生徒時代に習ったブーケを
ふたものに描いてみました
寒色系が充実している
スカンティップスの絵の具ですが
まさに紅一点
イエローレッドの暖かみが
ブーケに愛らしさを添えてくれます
日常に絵付けを取り入れる方法として
おすすめなのが
箸置きやスプーンレストなどの
小物たちです
藍色や金色は
和食器でもよく使われる色なので
違和感無く食卓に溶け込みます
同じ方向性のデザインにしていくと
My Brandのようにも見え
統一感がでます
金(ゴールド)などは余った時に
少しずつ描き足していけば
絵の具の有効活用にもなりますね
赤ちゃんの誕生から100日目に
『お食い初め』という行事があります
子供が一生、食べ物に困らないように・・・
という願いを込めて
赤ちゃんのためにお膳を用意し
食事の真似ごとをする儀式です
甥っ子へのお祝いに
あひるの親子の箸置きと小皿を
セットで描いてみました
赤ちゃんアヒルには、
生まれたての若葉を
大人のアヒルさんには
少し個性的な葉っぱを
デザインしました
成長の過程で
何かを感じてもらえるよう
大人が見ても美しいと思うものを
子供にはあげたいと
思います
カワイイものが
作りたくなって
久しぶりに
小花を描いた
Cup & Saucer
気持ちをなごませてくれる
午後のTea Time
冬の冷たい空気と
春の湿った空気が
入りまじる頃
その花からの便りを
待ちわびるのです
HP表紙(上)のTea Setを気に入ってくれた
友人のために製作した作品。
オリジナルと異なる白磁に描くので
デザインや色合いも変えてみました
植物の名前は
フウリンブッソウゲ
Tea Setを製作したのは
沖縄でこの植物に遭遇した直後だったので
灼熱の太陽の下
こげたような濃いグリーンや
野生的な真っ赤な花を
表現してみたくなりました
友人から依頼を受けたのが
それから4年後
白磁の波の模様のすがすがしさに
花や葉っぱも少し涼しげな色合いに
変えています
自分の描きたい対象と白磁が望むデザインが
うまく融合した時に
納得のいく作品ができるような気がします
6年前のことになりますが・・・
2005年は、アンデルセン生誕200年にあたり、
デンマーク在住の恩師の主宰する
スカンティップス(私の学んだ教室です)では
アンデルセンにちなんだ作品展が開催されました
*アンデルセンはデンマーク人です
テーマは、6つのアンデルセン童話から、
自分の描きたい童話を選び
白磁の上に表現するというもの
子供の頃に読んだことのある童話も
多かったのですが、
幼い日の絵本の挿絵に、
自分のイメージがひっぱられてしまいそうで
あえて、「ナイチンゲール」という
自分の知らない童話を選んでみました
その時の作品のひとつであるこの香炉は
高さ17cmの六角柱で
白磁自体がとても個性的な形状のため、
そのデザイン性をいかした
上絵付けを考えてみました
白磁の透かし(網目状に穴がある部分)が
立体を斜めに横切っているので
それらを時の移ろいにみたて
走馬灯のように、
香炉の表面に物語の情景を描いてみました
登場人物の服装や建築物は
いざ描こうと思うと
知らないこと、わからないことばかりで
服装史や歴史的建築物などを調べ
自分のイメージを
形にしていきました
また主役のナイチンゲール(鳥)は
声のはなやかさとは異なり
見た目は灰色の小さな鳥とのことで
月夜にシルエットを浮かびださせ
その神秘性を表現しています
両手のひらにのせられるほどの
小さな白磁の上に
時間をかけて、
丁寧にひとつの世界をつくりあげること
これは、上絵付けの醍醐味かもしれません
― 童話 『 ナイチンゲール 』 をちょっと紹介 ―
舞台は中国
皇帝の御殿の庭につづく森には、
それはそれは歌声の美しい
一羽のナイチンゲールという鳥が
すんでいました
その鳥の存在を知った皇帝は
家来に、その鳥を捕まえて、
自分の前で歌わせるよう命じます
捕らえられたナイチンゲールは
陛下の御前で歌声を披露します
そのうっとりするような美しい歌声に、
皇帝は思わず涙をながし感動するのです
以後、ナイチンゲールは
宮中にて寵愛されることになりました
ところが、ある日、体中に宝石をちりばめた、
ねじ巻きのナイチンゲールが届きます
作り物ではあるものの、体はキラキラと輝き
本物と変らぬほどの、みごとな歌声で
一日中歌い続けることができたため
たいそう気に入られることになり
本物のナイチンゲールはみずから宮中を去ります
その後、時は過ぎ、皇帝は病の床に臥してしまいます
その頃にはねじ巻きのナイチンゲールは部品も古くなり、まともに歌うことも出来なくなっていました
死の渕をさまよい続ける皇帝は 美しい音楽を切にもとめます
そのことを知ったほんもののナイチンゲールは、
かつて自分の歌声を本当に愛してくれた皇帝の側にもどって来て、
一晩中歌い続け、死の渕から皇帝を救い出したのでした
お・し・ま・い
*ストーリーを要約しましたので ご興味ある方は、アンデルセン童話集2(岩波文庫)で読んでみてくださいね。
その花の名はシャムロック
本来は、淡いイエローグリーンの
個性的な花を咲かせる
オランダの菊です
花のフォルムのおもしろさに惹かれ
様々なパターンを描いていくうちに
花自身に、
人間のような意志や感情を
感じ始め
不思議な気分に・・・
植物本来が持つグリーン系の色は
あえて使わずに
現実味からはなれた
幻想的な世界を表現することにしました
Cup&Saucerの上の空想の世界です
花たちが戯れる不思議な世界を
Cup&Saucerの小さな空間から
飛び出し
オーバルの大皿の上に表現してみました
メインのシャムロックのまわりで
咲き乱れる小さな花々によって
ふわっとした空気感や流れを
あらわしながらも
一つ一つの花に命が宿っている感じを意識して描いてみました
地上ではない、どこか花たちの国のできごとです
南の島の植物を描きたいと思い
その当時よく訪れていた
沖縄の竹富島へ取材をかねて旅へ・・・
島に吹き渡る潮風
咲き誇る花々
青い海、空
それらをテーブルの上に表現したく
制作しました
トップページの真っ赤な花も同様で
島の祠(ほこら)の入り口で
偶然に出遭った
風で揺れる姿が印象的な植物
ブーゲンビレアのディナープレートと、
フーリンブッソウゲ(赤い花の名)のティーセットを
「葉風」というテーマで
テーブルコーディネートしてみました