1768年、キャプテンクックの第1回太平洋航海に同行した
ジョセフバンクスら科学班は寄港した各地で植物採集を行い
その記録をドローイングとして残しました。
帰国後、バンクスの指揮のもと、それらは743点の銅版画
になりましたが、航海の成果を植物図譜として出版するには至りませんでした。
しかし、1980年代になり全図版を多色刷りで出版するプロジェクトが
大英博物館で始まり、ついにバンクス花譜集として出版されます。
この展覧会では、オーストリアや太平洋の島々で採集された植物を中心に、120点の銅版画が展示されています。
ヨーロッパの植物とは異なり、
南国の生命力に満ちたエキゾチックなものも多く、命をかけたプラントハンティングにもえる彼らの情熱と興奮がどれだけのものであったか伝わってきます。
ドローイングを担当した若き画家パーキンソンは、最後の寄港地ジャワでも精力的に職務を全うしましたが、その後も過酷な船上生活は続き、病に倒れ死去、イギリスに帰還することはできませんでした。
この美しい銅版画の左下にはパーキンソンの名前がしっかりと刻まれています。
植物学的探究が200年の時を経て、芸術的な作品に昇華したことをきっと喜んでいるような気がします。
2014.12.27